スポンジの硬さって表現が難しくないですか?
スポンジに限らず、「物の硬さ」を表現するのはとても難しいことだと思います。
お客様と電話で打ち合わせさせていただく際に、「スポンジの硬さの程度」というテーマはよく持ち上がります。
普段からお付き合いのあるお客様ですと「○○○(製品/品番)よりちょっと硬いくらい。」というような、
イメージの共有がある程度できますが、初めてのお問い合わせで、
かつ共有できる情報が少ない御客様だとこんなやりとりがよくあります。
「台所スポンジくらいの硬さで」・・・目の粗いもの?細かいもの?ザラザラした部分?
「車のシートくらいの硬さで」・・・セダンタイプ?スポーツタイプ?
「プリンくらいの硬さで」・・・最近では形をとどめないくらい半液状のやわらかいプリンが流行っていますね。
「綿みたいなふわっとした感じのもの」・・・圧縮されてない状態?綿毛のまま?
結局、お互いのイメージがズレた不安を抱いたまま、話が進んでいくと、 後になって「話が違う」、
ということにもなりかねませんので、多くの場合、まずはサンプル帳をお送りして、
スポンジの実物を確認していただいております。
一方、材料メーカーさんのような、スポンジのプロフェッショナルとお話するときは、
「共通の指標」があるため誤解なく情報を共有できます。
そこでは「25%CLDで0.09MPaくらいの硬さのPE」というような表現が用いられます。
これは、”25%つぶす時に0.09MPa(メガパスカル)の圧力が必要となる硬さの
ポリエチレンスポンジ"という意味になります。
CLDはCompression-Load-Deflection(圧縮-荷重-たわみ)の頭文字をとったもので、
25%圧縮(たとえば、10mm厚のものを7.5mmまでつぶす)時にどの程度の圧力が必要かを
指標としています。
もちろん、0.09MPaがどの程度の圧力かは、実物を触った経験がないと理解が難しいですが、
その経験があれば大きくズレることなく、お互いがイメージを共有できる便利な尺度です。
多くのメーカーさんで、この指標を用いていますので、知っておくと便利です。
我々社員の中でも知っている者は少ないですが、生産技術のノウハウを溜めていく上で
「密度○○、25%CLDで○○MPaのスポンジだとカットスピードは○○mm/sec.が最適!!」というような
記録や伝達ができるので、展開していく上で便利そうです。